株式投資をするときに有価証券報告書や決算短信をみる機会があるかと思います。
そこで、損益計算書の減損損失や減損関係の注記が出てきますよね。
会計を学んだ方以外は、減損とは何かを理解している方は少ないと思います。
仕事で使用した減損会計の概要説明の資料を手直ししました。
少しでも財務諸表の理解に役立てば嬉しいです。
減損会計とは?【減損会計の概要】
固定資産の「含み損」を当期の損失として計上し、貸借対照表に「本当の今の価値」を記載するための会計基準をいいます。
では、具体的に減損会計でいうところの、
- 含み損とは?
- 本当の今の価値とは?
を説明していきます。
含み損とは?
含み損は固定資産の「本当の今の価値」が下落して「帳簿価額」より低くなっている状態に発生します。
すなわち
- 帳簿価額 120>今の価値 100 → 今の価値が下落、20の含み損
- 帳簿価額 100<今の価値 130 → 今の価値が高く、30の含み益
帳簿価額とは会計帳簿に記録している価額で、次の通り計算します。
帳簿価額 = 購入時の価額 - 減価償却費
固定資産の購入価額から「使用や経年による劣化」である減価償却費を差し引いた価額、いわば会計上の「今の価額」といえます。
「本当の今の価値」が下がり「帳簿上の今の価額」より低い時の損失が「含み損」です。
次に帳簿価額と比較される「本当の今の価値」を確認します。
本当の今の価値とは?
「本当の今の価値」は以下のいずれか大きい方を指します。
- 使用価値
- 売却価値
会計では商品など売るための資産を「棚卸資産」といいます。
固定資産は売却のためではなく、「使用」し収入を得るための資産です。
例えば、
車を販売する会社が「売るため」に車を購入すると「棚卸資産」
しかし、営業マンの営業車を購入した場合は「固定資産」
になります。
「使用」により得られる収入から算出した価値を「使用価値」といいます。
それに対して、固定資産の売却によって得られる収入から算出した価値が「売却価値」です。
「使用価値」と「売却価値」のどちらか高い方を「本当の今の価値」として帳簿価額と比較を行います。
含み益がある場合は?
結論は、何もしません。
会計では利益は確定した時に計上するのが原則です。
そして、先ほども説明しましたが固定資産は使用を前提としています。
含み益があるからと言って、売るかどうかはわかりませんので、売ったら計上します。
まとめ
減損会計は「帳簿価額」と「本当の今の価値」を比較し「含み損」がある場合に損失を計上する会計基準です。
「帳簿価額」>「本当の今の価値」で含み損を計上
会社が保有している固定資産の「本当の今の価値」が下落して「帳簿価額」よりも低くなっている場合に、「帳簿価額」を「本当の今の価値」に修正するのが減損会計です。
「今の本当の価値」は「使用価値」と「売却価値」の大きい方をいいます。
「使用価値」>「売却価値」→「使用価値」
「使用価値」<「売却価値」→「売却価値」
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