ドルコスト平均法はリスクが少ない初心者向けの投資方法と言われていますが本当なのでしょうか?
この記事ではドルコスト平均法のメリット3つ・デメリット4つとドルコスト平均法以外の積立投資の方法を2つご紹介します。
ドルコスト平均法について詳しく知りたい方に参考にして頂けると嬉しいです。
ドルコスト平均法とは?
ドルコスト平均法とは「定期的」に「一定金額」を買い付ける積立投資の方法をいいます。
たとえば「毎月3万円、投資信託を購入する」など一定金額を定期的に購入する方法がドルコスト平均法です。
定期的に一定金額を買い付けるので、相場の下落時は低リスクと言われています。
この効果を数値を使って確認しましょう。
単価が毎回異なりますが、10万円分購入します。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
購入単価(円) | 10,000 | 8,000 | 11,000 | 7,000 | 12,000 |
購入金額(円) | 100,000 | 100,000 | 100,000 | 100,000 | 100,000 |
購入数量(口) | 10.000 | 12.500 | 9.100 | 14.300 | 8.300 |
累計金額(円) | 100,000 | 200,000 | 300,000 | 400,000 | 500,000 |
累計数量(口) | 10.000 | 22.500 | 31.600 | 45.900 | 54.200 |
評価額(円) | 100,000 | 180,000 | 347,600 | 321,300 | 650,400 |
評価損益(円) | 0 | -20,000 | 47,600 | -78,700 | 150,400 |
平均単価(円) | 10,000 | 8,889 | 9,494 | 8,715 | 9,225 |
2回目と4回目の下落時には1回目より多くの数量が購入でき、平均購入単価を押し下げていますね。
このように高値掴みを回避しつつ購入単価を下げることができるのがドルコスト平均法です。
ドルコスト平均法のメリット
まとまった資金を一括で投資した後に価格が下落すると不安になりますよね。
しかし価格が下落しても買い付るのがドルコスト平均法です。
価格下落時は同額でも数量が多く購入できるので「平均の購入単価が下がり」価格下落による不安を緩和できます。
そして「まとまった資金」がない場合でも自分の可能な額で定期的に買い付けることができます。
さらに証券会社などで積立設定すれば定期的に買い付けができるので手間がかかりません。
ドルコスト平均法のメリットそのものが初心者向けと言われる理由です。
しかし、ドルコスト平均法も万能ではありませんのでデメリットもしっかりと確認しましょう。
ドルコスト平均法のデメリット
ドルコスト平均法はまとまった資金がない場合の有効な投資方法です。
しかしデメリットもありますので詳しく説明します。
手数料が増加する
ドルコスト平均法は定期的に買い付ける方法です。
購入手数料が発生する投資信託を買い付ける場合は、つど手数料が発生し運用成果を押し下げる結果になります。
この場合は一括で買い付けるケースに比べて、購入手数料が増加するのがデメリットの1つです。
つみたてNISAで購入できる投資信託は、購入手数料のかからないノーロードと呼ばれる投資信託のみです。
つみたてNISAでドルコスト平均法を行う場合には、購入手数料はデメリットにはなりません。
相場が上昇している時は買付け単価が高くなる
相場の上昇が続いている局面では高い価格で買い続けるため、平均の買付け単価が上がり一括購入よりも不利です。
投資は世界経済の発展に資金を投じるもので、長期的には世界経済は成長しています。
投資商品は短期的には上昇と下落を繰り返しながら、長期的には価格が上昇していくと考えられます。
その観点から積立で買い付けを行うドルコスト平均法は不利な方法です。
機会損失が生じる
投資の平均のリターンは約5%程度と言われており、長く運用すればするほど複利の効果で運用益が大きくなります。
一方で預金の金利は定期預金でも0.01%程度ですよね。
まとまった資金があるのにドルコスト平均法で投資する場合は「5%で運用できる資金」が結果的に0.01%で運用されているので機会損失が発生します。
例えば、「12万円を一括で投資した場合」と「毎月1万円をドルコスト平均法で投資した場合」の1年後の運用結果を比べてみましょう。
一括で投資:126,139円
ドルコスト平均法:122,789円
ドルコスト平均法の運用益が3,350円低くなっておりこれが機会損失です。
運用シミュレーションはこちらで計算しています。ご利用ください。
購入済み資産のリスクは減らない
リスクを「含み損が発生する危険性」と定義すれば、平均の購入単価を下げることができるドルコスト平均法は低リスクと言えます。
しかし、投資の世界では「価格変動の幅」をリスクという場合が多く、そう定義した場合には必ずしも低リスクとは言えません。
購入済みの資産は常に価格変動する可能性に晒されているのでリスクは減らず、買付け残高が大きくなるに連れてリスクは大きくなります。
定量購入法とバリュー平均法 ドルコスト平均法との違い
積立投資の方法にはドルコスト平均法以外にも次の2つの方法があります。
- 定量購入法(数量を一定にする方法)
- バリュー平均法(評価額を一定にする方法)
定量購入法とドルコスト平均法の違い
定量購入法とは一定数量を定期的に購入する方法を言います。
上記のドルコスト平均法と同じく5回目の評価額が650,400円になるよう買付けました。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
購入単価(円) | 10,000 | 8,000 | 11,000 | 7,000 | 12,000 |
購入金額(円) | 108,400 | 86,720 | 119,240 | 75,880 | 130,080 |
購入数量(口) | 10.840 | 10.840 | 10.840 | 10.840 | 10.840 |
累計金額(円) | 108,400 | 195,120 | 314,360 | 390,240 | 520,320 |
累計数量(口) | 10.840 | 21.680 | 32.520 | 43.360 | 54.200 |
評価額(円) | 108,400 | 173,440 | 357,720 | 303,520 | 650,400 |
評価損益(円) | 0 | -21,680 | 43,360 | -86,720 | 130,080 |
平均単価(円) | 10,000 | 9,000 | 9,667 | 9,000 | 9,600 |
ドルコスト平均法と同じ「購入単価を下げる」効果がありますが、ドルコスト平均法の方が効果的ですね。
定量購入に比べドルコスト平均法は「単価が高い時は少なく」「単価が低い時は多く」購入するので購入単価の押し下げ効果が高くなります。
また価格変動に応じて毎回の購入金額が変動するので、ドルコスト平均法に比べ購入資金を管理する手間が必要です。
株式やETFなど「定額購入」が難しい商品であれば「定量購入」を使用するのもイイかもしれません。
バリュー平均法とドルコスト平均法の違い
バリュー平均法とは買い付け後の評価額を一定にする方法を言います。
ドルコスト平均法・定量購入法と同じく5回目の評価額が650,400円になるように買付けました。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
購入単価(円) | 10,000 | 8,000 | 11,000 | 7,000 | 12,000 |
購入金額(円) | 130,080 | 156,096 | 32,520 | 271,985 | -241,577 |
購入数量(口) | 13.008 | 19.512 | 2.956 | 38.855 | -20.131 |
累計金額(円) | 130,080 | 286,176 | 318,696 | 590,681 | 349,104 |
累計数量(口) | 13.008 | 32.520 | 35.476 | 74.331 | 54.200 |
評価額(円) | 130,080 | 260,160 | 390,240 | 520,320 | 650,400 |
評価損益(円) | 0 | -26,016 | 71,544 | -70,361 | 301,295 |
平均単価(円) | 10,000 | 8,800 | 8,983 | 7,947 | 6,441 |
目標額650,400円÷5回で1回当りの評価額が130,080円になるように買付けを行ないます。
2回目は130,080円×2回で評価額が260,160円になるように買い付け額を調整します。
評価額260,160円÷購入単価8,000円=32.52口
35.52口−1回目の購入口数13.008口=2回目の購入口数19.512口
2回目の購入口数19.512口×購入単価8,000円=2回目の購入金額156,096円
3回目以降は同様に購入口数を計算して買い付けという流れです。
そして5回目は価格の上昇によって評価額が目標額の650,400円をオーバーしているので売却します。
このようにバリュー平均法は毎回の評価額に着目して目標額になるよう買付け・売却を行ないます。
バリュー平均法のメリット・デメリットは次の通りです。
手間はかかりますがドルコスト平均法よりも投資効率は高い方法です。
私は面倒なのでバリュー平均法は採用していません。
しかし手間はかかりますが、投資効率は抜群なのでやってみても良いかもしれませんね。
検討したいです。
ドルコスト平均法が向いている人
ドルコスト平均法の特徴を整理すると次の通りです。
- まとまった資金がなくても、少額で投資ができる
- 価格の下落時でも高値掴みを避け、購入単価を抑えられる
- 手間がかからない
上記の特徴から以下の人が向いています。
- 少額から投資を始めたい人、まとまった資金がない人
- 含み損を見たくない、評価額の変動を可能な範囲で抑えたい人
- 投資をしたいが手間・時間をかけたくない人
これらの人であれば初心者でも全く問題ありません。
最後に
ドルコスト平均法について説明しました。
「初心者向け」とか「低リスク」と言われるドルコスト平均法ですが、決して「必ず儲かる投資法」ではありません。
損をすることもありますし、既に購入済みの資産のリスクを低下することもできません。
しかしドルコスト平均法にはデメリットもありますが、積立投資の方法としては最適解の一つです。
「こんなはずじゃ…」となる前にデメリットを把握して「こんな時もある」と心構えをして投資を継続しましょう。
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